小さなマック

マックが旅立ってからおよそ4ヶ月が経とうとしています。我が家も少しずつ日常に戻り日々を過ごしてはいますが、思い出さない日はありませんし、マックの名前が出ない日はありません。

マックが旅立って数日、名前を呼ぶのすら悲しくて、お墓の前で声をかける以外家の中で呼べない日がしばらく続きました。そんなある日、3歳の娘が少し前にもらったこのぬいぐるみをマックにする!と言い、名前がなかったこの小さな犬のぬいぐるみはマックと命名されました。小さくなったからこれからはどこでも一緒に連れて行けるねと。それでも日々の中で、マックがいなくて寂しいねぇなんて口にすると、娘はマックはここに居るよ、わんわん!と連れてきてくれるようになりました。それからは気軽にマックの名前を皆で呼んでいます。

ここからは、マックの病気の進行について赤裸々に書きます。この病気は珍しい病気ではないので、もしかしたら誰かの参考になるかもしれないという思いがあるからです。ですので、ちょっと詳しく知るのは怖いな、という方はここまでになさって下さいね。

マックは去年の7月の下旬、少し前から足の付け根にあったポコッとした腫瘍が急に大きくなり、病院で細胞を取り調べてもらうと肥満細胞腫というものでした。極めて悪性度が高く、獣医さんと相談し手術で取り除くことになりました。手術前2週間投薬をし、腫瘍を小さくしてから手術の予定でした。が、、あれよあれよという間にどんどん腫瘍が大きくなり、ついには破裂しました。。。実はその時は居合わせなかったので、自分で食いちぎってしまったのだと思いました。帰ってきたら家の中は事件現場のような血だらけの惨状で、マック自身は流血し続けるところをペロペロ舐めているし、娘も居合わせてしまい、さすがの私もプチパニックに。とりあえず止血し、病院へ駆け込みました。手術日程を早くしてもらい、その日から投薬が始まりました。また、傷口はオキシドールと大判コットンで消毒し続け、出血がなくなるまではガーゼと大判コットンを貼り付ける感じで様子を見ていました。実際には触ると大きくなりやすいので、触らないことが1番良いとは言われていますが、そのままにしておくことも出来ずでした。

しかしながら、全然腫瘍は小さくならず、、、そのまま手術の日を迎えました。当の本人は、破裂後数日出血が続きましたが、止まってからは傷口を下にして寝転ぶほどさほど気にはしておらず、散歩も行き元気に過ごしていました。

8月下旬の15歳の誕生日の数日前に無事に手術は終わり、できる限りは取りましたと先生も頑張ってくださいました。20センチ、20針ほどに及ぶ手術痕は痛々しく、どうしても足の動く部分だったので、動くと糸が皮膚を貫通し、傷口がどんどん開いていってしまいました。それが痛そうで、痛そうで、、毎晩辛そうだけど、撫でて宥めて寝かせることしかできない日々が数日続きました。絆創膏で傷口が広がらないように止めてみたり、伸縮性のある包帯で巻いて止めてみたりと出来ることは工夫していました。

術後の経過はお世辞にも良いとは言えず、傷口が塞がるまでに1ヶ月弱かかりました。その頃から周辺に少しぽこっとしたものが見られたり、時々足を引きずったり、力が入らないのかなと思われることが出てきました。転移再発ではないことを祈ってなりませんでしたが、やはり、それらは転移でした。術後から1ヶ月余りで出てきました。もうこれ以上の手術は勧められず、緩和ケアをしながら様子を見ていくことになりました。マック自身は不調と動きにくさを感じながらも毎日機嫌よく、いつも通り愛嬌を振り撒いて過ごしていました。動きにくくても外へは行きたがり、介助をしながらもトイレは外で出来ていました。食事は、日によって食べる日、食べない日、フード以外は食べる日とありましたが、徐々に少なくはなってきていました。

10月中旬、ヨタヨタと外へトイレ出しをした際に、もっと行きたいというので(といっても家から50Mほど)、支えながらお散歩していたら、ヨロっと倒れた瞬間に2度目の破裂が起きました。道路がまたもやすごいことに。。2度目は居合わせたので、腫瘍の中の内容物をガッツリ見ました。こんなものが詰まっていたのかと思うのと同時に、この道路の惨状をどうしようかと、マックも動けないしと思っているところへ、ご近所のパパさんが通りがかりお手伝いしましょうかと声をかけてくださり、マックを道端で見てて頂いて処置道具と掃除道具を抱えて戻る事が出来、なんとか。2度目の破裂だったので、処置も早く出来ましたが、出血は酷く、貧血症状が出てきました。次の日から立てなくなり、食事もほとんど取らなくなりました。獣医さんにも相談しましたが、ここまできたら貧血を緩和出来るのは毎日の輸血しかなくお薦めできないので、そろそろ気持ちの準備が必要ですと正直に話して下さいました。

その日からは更に出来る限り一緒に過ごしました。相変わらずご飯は殆ど食べず、水も飲まず、トイレも出ずの数日。ほとんど動くことも出来なくなりましたが、愛想は良く、私たちのことをずっと見ながら、上半身を起こしたり、バタンとしたりしながらいつも通りの可愛い顔で甘えながら過ごしました。娘も毎日「マック〜大好きよ〜チュ!」としてくれました。私は食べる勢いでブチュブチュ。笑

そんなこんなの数日後の深夜、息が苦しそうになったり、楽になったりを繰り返すのをさすりながら寄り添い、朝に私達が見守る中空へと旅立ちました。

腫瘍が大きくなり、検査から約3ヶ月。手術から約2ヶ月。その間に15歳の誕生日も迎え、転移もしたのによく頑張ってくれたと思います。マックとの日々は楽しいことしかなくて、感謝しかありません。ソファーが一晩で跡形もなく消えてスポンジの海になっていた伝説も含めて。このコロナ禍で家にいることが多かったこの数年、それも私達家族にとってはマックと沢山一緒にいられる最高の家族時間でした。

この記事を書いた人

Yumi Asakawa

nest+のハンドクラフト部門hiyoriのモノづくり担当。旅好きモノ好き暮らし好き。旅するように暮らしたい、暮らすように旅したい人。趣味は衣食住旅作。5歳児のママ、日々修行中。